OMCG(幾何コンテスト) A~F

最近OMC ( onlinemathcontest.com ) にハマっている。超雑に言うと数学版AtCoderみたいな感じの数学コンテストサイトである。
OMCをやる上で一番の課題は幾何である。ベクトルや三角関数はまだしも、初等幾何は大学に入って以降はおろか大学入試ですらまともに触れた覚えがない。なので幾何力をつけないと必ず爆死する。

OMCの過去のコンテストを漁っているとOMCGという幾何だけが出るコンテストがあった(1回しか開催されていないが)。

コンテストのリンク→ https://onlinemathcontest.com/contests/omcg001

なのでとりあえずAからFまで解いてみた。だいたい4時間半で解けたのでコンテストに参加していたら25位ぐらいだと思う。

f:id:shibedog:20210812213358j:plain
ちなみに問題ごとの正答者数はこんな感じで、G以降は地獄っぽい。

(以下、OMCGのネタバレを含みます)

各問題の解答(実況風)

以降、各問の解答をまとめる。幾何の解答をかっちり書くのは面倒だし、折角のブログなので、「実況風」にざっくりした解答(方針に近い)を書いてみる。もちろん最後の結論まで書く。

A問題

f:id:shibedog:20210812213534j:plain
ぶっちゃけ一番苦戦した。なんで200点なのかよくわからない。

f:id:shibedog:20210812214026j:plain

図。まず直角二等辺三角形BDEの1辺の長さを求めたくなる。これは、BからACに垂線Hを引き、三平方の定理を用いることで15√17/13という(顔を顰めたくなるような)長さがすぐ出る。
しかし、ここからがなかなか思いつかない。
BCFとDEFの面積比を求めればいいのだが、このふたつの三角形は三角形BDFと隣り合っているで、DFやBFの長さが求まれば、辺の長さの比を用いて解決しそうだ。
しかしそれがわからない。
焦って順位表を見ると10分以内に解いている人が誰もいなかった。やばいと判断して後回しにすることに

(200分後)

f:id:shibedog:20210812215235j:plain
すこし進展。先程おろした垂線BHを延長し、DEとの交点をIとする。HIDとHDBが相似であることに注目すると、DI:IE=1:3が出る。しかし、相変わらず(目標である)DFやBFの長さはわからない。うーん

あ、僕は大事なことを忘れていた。メネラウスの定理だ。
f:id:shibedog:20210812215522j:plain
BE:FE=1:k,FH:HD=l:1とする。メネラウスの定理が使えて、l=3kがわかる。
lをkで表せたので、kを求めれば良い。BFの長さをkを用いて2通りに表す。一つ目はBIとIFの三平方の定理、二つ目はBEとの長さの比である。これでk=4/5と求まる。あとはDFとBFの長さを求めておしまい。
f:id:shibedog:20210812220306j:plain

三角関数や座標を入れるともっと簡単に解けるのかもしれないが、初等的な方法のみで解いていきたかったのでこうなった。難しかった。
と思って解説を見たら思いっきり座標入れてた。草

B問題

f:id:shibedog:20210812220425j:plain

大学入試っぽい。軌跡の周囲はどう考えても円なので、その中心がどこかを予想して、予想が正しいことを証明すればよさそうだ。
f:id:shibedog:20210812220549j:plain
弧ABの中点をMとして、MAを半径とする円になりそうである。これをどう証明するかだが、三角関数でパラメトライズしても良いが、円周角定理を用いるともっと楽にできそうだ。
f:id:shibedog:20210812220744j:plain
超雑な答案は上の通り。円周角定理の逆が使えるのは、1回目の円周角定理でPQBが正三角形であることがわかり、角PQB(=角AQB)が常に60度になることがわかるからである。そういうことは答案に書けや

これはそんなに難しくなかった。

C問題

f:id:shibedog:20210812220946j:plain
f:id:shibedog:20210812221154j:plain
図。ちょっととっつきどころがない気がするが、角B,Cの二等分線を入れてみたくなる。すでにある角Aの二等分線と含めた3つの二等分線は、内心で一点に交わる。

f:id:shibedog:20210812221303j:plain

この補助線を引けば相似な三角形がふたつ出てきて上図のようにすぐ解決する。字汚くてごめん
終わってみるとシンプル ちなみに本当は結構グダリました

D問題

f:id:shibedog:20210813140834j:plain
f:id:shibedog:20210813140838j:plain
このあたりから難易度が上がってくる。今思うと上の図は嘘で、CDOが垂直だからCDと円は接するはずだ。それを完全に忘れていたがそれでもこの問題は解ける。

f:id:shibedog:20210813141319j:plain
すぐにわかるのは、OからABに垂線OHを下ろすと3:4:5の三角形が現れることである。
次に、CODが直角なので3点DOHが共線(一直線上にある)であることがわかる。また、DECが二等辺三角形であることが次のようにして示せる。

f:id:shibedog:20210813141435j:plain
角DAOを丸、角OABをバツとする。から、角DCEは「丸+バツ」であるとわかる。また角DCEも円周角定理より「丸+バツ」である。よってDECは二等辺三角形である。
f:id:shibedog:20210813142038j:plain
ここまでくれば面積を使って解決する。
解説してみると思ったより簡単だった。でも解いてる時は結構難しかった。

E問題

f:id:shibedog:20210813142158j:plain
いかにも座標を入れたくなる設定なので、座標に近い発想をすれば良さそうである。そこで正方形EFGHを真っ直ぐな正方形で囲い、図のように長さx,yを考えてあげる。
f:id:shibedog:20210813142327j:plain
すると相似比からDK=BJ=3xが従う。
f:id:shibedog:20210813142414j:plain
あとは芋づる式に書き込めて、三平方の定理をAEとBEについて用いれば非常に綺麗に解決する。なお、求める面積は三平方の定理よりx^2+y^2に等しいことを使うと計算が楽になる。

これは思いつかないと相当難しいと思う。自分は似たような解法の問題をどこかで【数学実況#1】数学オリンピック 予選 - YouTube見たことがあるので解けた。座標を入れても変数をうまく設定すれば実質的に同じ発想ができると思う。

F問題

f:id:shibedog:20210813142815j:plain
ぶっちゃけAからFの中で一番簡単だった。とくにコメントがないので解答をいきなり貼る。

f:id:shibedog:20210813142949j:plain

CEとDAを延長した交点をP、CEとDBの交点をQとすると、PD:DC=DQ:QBが相似比よりいえる。一方、角の二等分線の性質からDQ:QB=DE:EBでもある。この二つを連立することにより長さが求まる。一瞬グロテスクな二次方程式が出現するが、OMCは電卓の使用を推奨しているので慌てず解の公式を用いると判別式が360000となり、ちゃんと有理数解になる。

ちなみに、Pを取ることが思いつかなくても余弦定理を用いることもできる。A問題と交換した方がいいのではないか?

所感

幾何の問題は解いている時は地獄なのに、解き終わって振り返ると「なんだこんなもんか」となりがちで少し悲しい。しかし解けた瞬間はめっちゃ嬉しい。今度は場合の数編もやりたい。